愛すべきトホホ人図鑑

「釈迦に説法ですが」

物腰はいたってていねいだ。なぜだか難しい知識を披露するときにだけ、「釈迦に説法ですが…」などと、変なへりくだり方をする。いやあなたのほうが絶対知ってるでしょうよ。自分が物知りだと自覚があるからこそへりくだるのだろうが、自慢の上塗りだということには気づきにくいものらしい。周囲にとっては「知りませんでした!」「勉強になります!」を毎回言うのはちょっと面倒くさいもの。

 

「教えて」と言えない

マウント科小心族には、専門的なキャリアを持ち、プロ意識の高い人が多い。プロ意識、とても大事だ。でも裏腹に、プライドの高さは自分の進化を邪魔してしまうことがある。わからないことを、なかなか聞けない、自己流でどうにかしようとする。勉強すればいいのだが、どこからやっていいのかわからない…。手を差し伸べようと遠慮がちにやり方を指南する後輩からのメールは、そっと見ないふりをし、次からCCを外す…その細やかな隠ぺいはみんなにバレている。これからの時代は、「教えて」を言わないまま逃げ切るのは難しそうだ。

これわたし?と思ったら
繊細さより素直さを
「●●さん、全然わかってないね。かわいいよね」といわれる徳の高さにまで持っていければしめたもの。たいていはそうはいかない。素直になろう。わからないことがあれば、プライドをぐっと抑えて「え!なになに?そうなの???教えて!」と、すっとぼけて大げさに言ってみよう。大人の意外な素直さは普段とのギャップで周囲を和ませ、ある種の人間的な魅力を放つ。実際、周囲はそもそもかっこいいと思っていないからイメージダウンもない。プライドを守る繊細さより、知らないことを知らないと言える素直さのパーセンテージを増やすが吉。ただ、毎回だと「自分で調べてくれよ」と言う苦情にもつながるので注意しよう。

愛すべきトホホ人図鑑とは

自分のことって自分では意外とわからないもの。「それなりにがんばってきた。成果だってなかなかのもの(周りもそう思ってくれているに違いない…)」。と思っていても、長所と自認するところはちょっと鼻についていたり、短所と思っているところが意外と人に愛されていたり。そこかしこにいる「愛すべきトホホ人」の中に、もしかしたらあなたに似た人がいるかもしれません。違う角度から自分を見つめ、「次のじぶん」への一歩を踏みだすステップを、広く、軽くするきっかけになれば幸いです。

執筆者:ふしみ しょうこ
ライター
北海道生まれ東京在住のコピーライター。会社勤めと並行して、ふるさと北海道にまつわるコラムを書いたり、精神的支柱である演劇の界隈で活動、執筆する。人生は劇場であり、いただいたお役を工夫して演じるのが面白さ、という気持ちで生きております。