愛すべきトホホ人図鑑

日曜に会いたくないタイプ

比較的かたい職場である。出勤時、男性はスーツ、女性もそれに準じたおしゃれをしている。流行は追わず、大人らしい品のよいたたずまいである。そんな職場でもごくまれに、休日に集まるときがある。
上司のお宅でホームパーティーとか、何かお付き合いのあるチームのスポーツ観戦とか、くつろいだ感じの催し物のときだ。実はこれが大変に恐ろしい。なにがって、私服が。普通に、カジュアルなシャツにコットンのパンツとかで来てくれたらいいのに。何ならスーツできてくれてもいいのに。

 

大学生なの?バンドマンなの?

50 OVERのあるひとは、平成初期の大学生みたいなラガーシャツでやってきた。早慶戦ですか? 40代のある人は、ダメージデニムにキャップで。うっかりすると財布にチェーンがついていたりもする。あるバンドが好きすぎる先輩は、バンドTシャツにスキニーデニムにブーツ…。みなさん首から上はウイークデーと一緒なのに、首から下の時代が混在し普段の姿との落差で情報に脳が追い付かない。本人にとってはいたって普通のカジュアルウエアなのだろうが、周囲からするとこれは大変なバグなのである。

これわたし?と思ったら
普段のキャラクターにあった私服を
世界観ありすぎる服は、そのコミュニティでは普通でも、同僚との日曜日には情報量が多すぎることがある。「僕ってほんとはこんな人」というメッセージは不要かもしれない。普段通りのキャラクターをそのまま維持できる私服の用意をお勧めする。スーツ姿にあこがれや恋心を抱いていた若手の心が離れてしまわないように。

愛すべきトホホ人図鑑とは

自分のことって自分では意外とわからないもの。「それなりにがんばってきた。成果だってなかなかのもの(周りもそう思ってくれているに違いない…)」。と思っていても、長所と自認するところはちょっと鼻についていたり、短所と思っているところが意外と人に愛されていたり。そこかしこにいる「愛すべきトホホ人」の中に、もしかしたらあなたに似た人がいるかもしれません。違う角度から自分を見つめ、「次のじぶん」への一歩を踏みだすステップを、広く、軽くするきっかけになれば幸いです。

執筆者:ふしみしょうこ
ライター
北海道生まれ東京在住のコピーライター。会社勤めと並行して、ふるさと北海道にまつわるコラムを書いたり、精神的支柱である演劇の界隈で活動、執筆する。人生は劇場であり、いただいたお役を工夫して演じるのが面白さ、という気持ちで生きております。