愛すべきトホホ人図鑑

資料を整理してたらさ

打ち合わせ室で広げてくださったのは、見事に体系化され美しく整理された過去資料の数々。こんなのも!あんなのも!へえ、こんな考え方で進めてたんですね! 眺めているだけでわくわくするし、もっとお話を聞きたくなる。「そうなんだよ、僕だけで見ているのはもったいなくてね~」。聞けば、コロナ禍で事務所を整理した際に過去の仕事や過去に集めた参考資料がどっさり出てきたそうだ。ご自身のものなのに新鮮に面白くて、夢中になって整理なさったとのこと。自分語りでも喝でもなく、「これ見てよ!」というシンプルな動機付けで、彼は連絡をくれたのだった。

 

今は僕のころとは違うからね

過去事例の豊かさに共感してしまい、いまはこういう仕事がなかなかできないし、組織も仕事の進め方も様変わり…と残念モードになってしまっているのを見透かされていた。彼は言った。「いまはもう世の中が、僕らのころとは違うからね。目的やゴールも様変わりしているしね。これは全然参考にはならないよ」。参考にならない? 参考に、しなくていいの? 突き放されたというより、なんだか不思議とさわやかな気持ちになる。そうか、いまは、いまだし、昔は昔。マネしなくていいし、いま素敵だと思える仕事をしていきなよ、と力をもらったような気持ちがしたのである。

これわたし?と思ったら
こんな先輩になりたい!
今回はトホホではない人物を紹介した。先輩というのは多かれ少なかれ、下から見ればけむたいもの。しかし、そうではない人物もいる。そういう人はきっと自分自身を常にアップデートしていて、いま現在にわくわくして生きている人なのだ。昔がたりではなく、これからのために「いま」という時間を共有する。こんな先輩になりたい、と思う。

愛すべきトホホ人図鑑とは

自分のことって自分では意外とわからないもの。「それなりにがんばってきた。成果だってなかなかのもの(周りもそう思ってくれているに違いない…)」。と思っていても、長所と自認するところはちょっと鼻についていたり、短所と思っているところが意外と人に愛されていたり。そこかしこにいる「愛すべきトホホ人」の中に、もしかしたらあなたに似た人がいるかもしれません。違う角度から自分を見つめ、「次のじぶん」への一歩を踏みだすステップを、広く、軽くするきっかけになれば幸いです。

執筆者:ふしみしょうこ
ライター
北海道生まれ東京在住のコピーライター。会社勤めと並行して、ふるさと北海道にまつわるコラムを書いたり、精神的支柱である演劇の界隈で活動、執筆する。人生は劇場であり、いただいたお役を工夫して演じるのが面白さ、という気持ちで生きております。