愛すべきトホホ人図鑑

飲み会トークに新語をぶっこむ

久しぶりの仕事仲間や後輩との飲み会。なかなか会う機会がないから近況報告などで盛り上がる。
馬鹿な話や噂話で楽しく時間は過ぎていく。そんな中にたまに出現しないだろうか?突然DeepLの翻訳能力に関する話題を入れてくるひと。
「あれ使ったとことある?すごいよね?GOOGLEなんかよりずっと精度がいいよね」。
薄く期待しているのは「なにそれ?知らない!」「さすがですね!」という反応かもしれない。
でもなんで今?なんで今それいったの?

 

「いまは風の時代であるといわれています」

今を生きている感覚を失いたくない。それは年を重ねてくれば誰しも思うことだ。
数年前、年賀状や新年のあいさつに冒頭の言葉が躍ったことがある。
このことは当時占星術界隈、女性誌界隈では旧知のキーワードであったが、ある時言葉が一般化し、いわゆるおじさん界隈でも広く知られるようになった。
たちまち、自分の新知見として披露する人が増え、同時に(え、なぜ今?)と思われてしまうひとも激増した。
新語や新しいコンセプトは、まずどこかの界隈で広がり、後に一般化する。専門外のキーワードは、自分のところに聞こえてきた時点で誰かにとっては「?」というタイミングであると思っていいのかもしれない。

これわたし?と思ったら
知らないことを知らないでいる勇敢さも持とう
無理なのである。常にアップデートが行き届いた人間でいることは。
そして、周囲も、全方位にアンテナを張ったような先輩世代なんて求めていないのである。
自分なりの視点で世の中を見て考えている、と思えたら、情緒も安定するしその落ち着きぶりはきっとその人を魅力的に見せる。
もちろん、勉強することは止めたくない。自分の分野の新知見を掘り下げる中で、そこから見えてくる時代感覚があるはず。それを信じたい。

愛すべきトホホ人図鑑とは

自分のことって自分では意外とわからないもの。「それなりにがんばってきた。成果だってなかなかのもの(周りもそう思ってくれているに違いない…)」。と思っていても、長所と自認するところはちょっと鼻についていたり、短所と思っているところが意外と人に愛されていたり。そこかしこにいる「愛すべきトホホ人」の中に、もしかしたらあなたに似た人がいるかもしれません。違う角度から自分を見つめ、「次のじぶん」への一歩を踏みだすステップを、広く、軽くするきっかけになれば幸いです。

執筆者:ふしみしょうこ
ライター
北海道生まれ東京在住のコピーライター。会社勤めと並行して、ふるさと北海道にまつわるコラムを書いたり、精神的支柱である演劇の界隈で活動、執筆する。人生は劇場であり、いただいたお役を工夫して演じるのが面白さ、という気持ちで生きております。