愛すべきトホホ人図鑑

「さあ、雑談しましょう!」

その人はとにかくお話が好きだ。聞くよりも、話すほうが好きだ。
ちょっと面白かったこと、自分のアンテナにビビッときたこと、テレビで得た新知見、家族に聞いたこと。たくさんの話題を提供してくれる(気持ちはよくわかるが、会議で会う人は毎日意外とかぶっているもの。初めて聞くオーディエンスばかりではないことを意識してくれたらな…と思う)。
「アイデアは雑談から生まれる」がポリシーで、チームにもそれを推奨している。チーム会議の冒頭には雑談タイムを設定、「最近会った面白かったこと」をひとりずつ話す方針も打ち出した。
でもなぜなのだろう。この雑談の虚無感は!話が発展しないまま終了する不完全燃焼感。もやっとした空気感のなか、会議は次の議題に移っていく…

言いたいことが決まってる

雑談とは異なるが、会議のリーダー格が「俺が先にしゃべるとアレだから…」と言って、まず参加者にしゃべらせる場合がある。
みんなの意見を聞きたいという意味にもとれるが、自分の言いたいことが決まっていて、それをラストに持っていくためのフリであることも多い(私調べ)。
そういうタイプのひとは、ほかのひとの意見をくみ取って自分の話をアレンジすることは、まず、ない。いつもの考え方のまっとうな筋道でラストにうおりゃーっと発言をキメる。
ああ、その結論ね。なら意見聞くなよ…)と思う人だっていそうである。せっかくの意見交換なのに。

これわたし?と思ったら
雑談や打ち合わせには丸腰で臨もう
雑談であれ、企画のブレストであれ、ひとと話をする面白みは自分の考えが掻き混ぜられて変化していくことにあるのではないか。そこから気づきも生まれるというもの。
大人になればなるほど確立された自分の意見はあるものだが、そこはグッと我慢して周りの話をよく聞く。
そこで生まれた新しい自分の意見を楽しみ、会話に乗せて反応を見る。この雑談瞬発力的な態度はきっと、大人の前頭葉の活性化にもつながるはずだ。

愛すべきトホホ人図鑑とは

自分のことって自分では意外とわからないもの。「それなりにがんばってきた。成果だってなかなかのもの(周りもそう思ってくれているに違いない…)」。と思っていても、長所と自認するところはちょっと鼻についていたり、短所と思っているところが意外と人に愛されていたり。そこかしこにいる「愛すべきトホホ人」の中に、もしかしたらあなたに似た人がいるかもしれません。違う角度から自分を見つめ、「次のじぶん」への一歩を踏みだすステップを、広く、軽くするきっかけになれば幸いです。

執筆者:ふしみしょうこ
ライター
北海道生まれ東京在住のコピーライター。会社勤めと並行して、ふるさと北海道にまつわるコラムを書いたり、精神的支柱である演劇の界隈で活動、執筆する。人生は劇場であり、いただいたお役を工夫して演じるのが面白さ、という気持ちで生きております。