愛すべきトホホ人図鑑

言葉はなくても…つたわらない

会社の会議室、というのはそこに入るだけで何らかのコミュニケーションが生まれていた。誰かの服装を見て、きょうは特別な予定があるのかなと思ったり、顔色がいいなとか、なんかいいにおいがするな、など。オンラインはそうはいかない。ビデオオンでもまるで存在を感じさせない人もいる。自分から存在感を発していかなくては不在と同じなのだ。しかし、この人は、しゃべらない。振られるまで決して、しゃべらない。そしてようやく発言する際に、なぜだろう、マイクオンするのを忘れてしまうのだ。「・・・・・・・・・・・・・あっミュートでした」。せっかくの珠玉の一言がそれだなんて

「…で?」

さらに、今まで黙っていた分いろんな人の意見を聞いたうえで、鮮度のある新しい意見に収斂させて行く…のかと思ったら、ながーい発言はあっちこっちに飛びながら議論のまとめで終わったりする。参加者の間にこだまする、無音の(え?)(で?)。リアル会議室なら空気や視線で会話ができるけど、オンライン会議では無理だ。発言は宇宙の塵となって霧散し、発言は次の人に移っていく…。

これわたし?と思ったら
発言頻度を上げよう
いい発言はどうでもいい発言の中から生まれてくることが多々ある。「珠玉の一言は突然生まれない、書き連ねた駄文の中にふと見つかるものだ」というようなことを言っている文筆家もいた(ような気がする)。せっかくだからいい意見を、と構えずに、発言頻度を上げることで参加感を高めてみてはどうだろう。会議を盛り上げることも、昨今はひとつの大事な参加態度だ。

愛すべきトホホ人図鑑とは

自分のことって自分では意外とわからないもの。「それなりにがんばってきた。成果だってなかなかのもの(周りもそう思ってくれているに違いない…)」。と思っていても、長所と自認するところはちょっと鼻についていたり、短所と思っているところが意外と人に愛されていたり。そこかしこにいる「愛すべきトホホ人」の中に、もしかしたらあなたに似た人がいるかもしれません。違う角度から自分を見つめ、「次のじぶん」への一歩を踏みだすステップを、広く、軽くするきっかけになれば幸いです。

執筆者:ふしみ しょうこ
ライター
北海道生まれ東京在住のコピーライター。会社勤めと並行して、ふるさと北海道にまつわるコラムを書いたり、精神的支柱である演劇の界隈で活動、執筆する。人生は劇場であり、いただいたお役を工夫して演じるのが面白さ、という気持ちで生きております。