わたしの
セカンドキャリア
第8回 30年の公務員生活→役者→北海道議会議員へ。すべては必然だった/山崎真由美さん
1992年帯広市役所に奉職
人生一度きり、やりたいことをやろうと30年勤務した役所を辞めて役者の道へ。
芸能事務所に所属し、念願の大河ドラマ「どうする家康」に出演。その他ドラマ・映画に出演
2023年4月、北海道議会議員に初挑戦し、当選
子どもたちが未来に夢や希望を持ち続けられる、女性がもっと活躍できる北海道を目指して日々活動中
将来は国際線スチュワーデスになって世界を飛び回りたい…。そんな夢を見ていた少女は2023年春の統一地方選挙で札幌市東区から出馬、北海道議会議員となった。その差わずか6票差「なるべくして今までの経験があった。タイミングと偶然が重なったかのように見えるけどすべては必然だった」と語る。
昆布のようにしなやかに!?
家庭の事情で大学進学をあきらめ、高校卒業後は出身地である北海道帯広市の市役所職員として働き始めました。
当時の私は白黒はっきりしたいタイプ。行政の慣例的な働き方や、事なかれ主義に疑問を持ち、変革を提案するも、思いをぶつけただけでなかなか上手くいかず…。悶々とした日々を送っていました。
36歳で男女共同参画推進課に異動になり、働く女性たちの勉強会「十勝キャリアデザインネットワーク」と出会いました。
ある方から「昆布のように根はしっかりはりながらもアプローチはしなやかに…」という言葉を聞き、「私はまっすぐだけど固い」と気づかされたのです。自分の考えを訴えるだけでなく、相手を巻き込み、ちょっとした心遣いややり方で相手が納得する状況を作り出せるということを学びました。
48歳で役者になる!と決めた
実は30歳の時、大病を患ったことがあります。
この時初めて「死」を考え、手術の日に「私の人生、このままで終わったら後悔する…」と思ったのです。
ですからやりたいことはやろうと決めてはいました。
しかし本当に私を突き動かしたのは離婚でした。
元夫は政治家で、彼の仕事柄、また役所の公務員としての立場柄もあり、若い頃に自分の夢をかなえる挑戦や冒険ができないまま、30年働いてきました。子育ての終わりが見えてきて、深く自分の人生を考えた時「やり残したことをやりたい」と思ったのです。その頃、たまたまSNSにシニアモデルの広告記事をみつけ、軽い気持ちでオーディションを受けました。事務所に所属し、レッスンを受け始めたら演技が楽しい!裸の自分、素の自分をぶつけることができたのです。
48歳で市役所を退職し、「どうする家康に出ます」と宣言して目標がバシッと定まりました。
本当に求めていたのは、みんなと一緒の達成感
実際に役者をやってみて楽しかったです。
目標だった番組にも出られ、みんなから「すごいね」と言ってもらえましたが、それは想像していた喜びとは違っていました。
1人で達成する喜びってこの程度なんだ…と。私にとっては1人で叶える夢より、みんなで一緒に叶える夢こそが喜びなのだと気づいたのです。
そんな時たまたま元夫から、出馬してみないかと声がかかりました。
最初は「え?」と思った程度で、自分はそんな器じゃないと思いましたが、もう1回話をいただいた時、胸にポッと熱くなるものがありました。地域を回ってみて「何としても生活を変えてほしい」という切実な思いを聞き、もっと女性が参画して変えていかねばと出馬を決意。お話を頂いてから2週間後には札幌で街頭に立っていました。
議員活動は始まったばかりですが、30年の行政経験が生かせると思いました。道政も市政も基本は一緒、住民の皆さんの声に耳を傾け、課題を1つずつ解決していきます。
3つのターニングポイント
好きな歌をレコーディングしてYouTubeにアップしたりもしています。
何かに我慢することもなく実現できていて、他の方のやりたいことを実現させていく立場にもあります。
毎年「人生があと1年で終わるとしたら」を基準に目標を立てます。多くの人は目標設定するとステップアップを考え、現在地からレールを引こうとします。だから自分の決めたステップがうまくいかないと途中であきらめてしまうのです。でも私は最終地点の目標を設定したら、レールは向こうから引かれると思っています。向こうからやってきたことに上手に乗っていくと到達します。良い流れがやってきたとき、考えすぎずにすぐ行動する、直感で動いてみて、うまくいかなかったら次の方法をやればいいのです。いちいちその時点で成功・失敗を考えないのがコツです。
今後のわたし
わたしは特別な存在ではありませんし、そうなるつもりもなく「誰よりも身近すぎる政治家」を目指しています。
政治とはわたしたちの生活を司ること。だから、もっともっと関心を持ってもらいたいです。
ドラッグストアで店員さんと仲良くなり1時間立ち話をし、カフェで若い女の子に名刺を渡してまた1時間話したりしています。
みな、政治家の知り合いもいなければ身近に感じたこともないといいます。でもこうやって近づいていけば…いろいろな話を聞くことができます。
何も政治じゃなくてもよいのです。若い人や女性が勇気をもって行動できる、そんな場作り・仲間づくりをしたいと思っています。
編集部より
山崎真由美さんには、毎回驚かされます。
「女優になる」といって、長年勤めた帯広市役所をやめ東京に行った時も、そして2023年春の統一地方選での出馬も、6票差での当選も!
とてもドラマチックな人生に感じるかもしれませんが、すべては48歳の時に彼女が踏み出した「一歩」から始まっています。
初めて会った頃の彼女はいつも体の中からあふれ出るエネルギーを持て余していました。こみ上げる正義感のコントロールを行うことが難しかったのでしょう、たびたび壁にぶつかる姿もみていました。ですから今回のインタビューを通じて、彼女は政治家にとても向いていると改めて感じました。
地域のため、みんなのため、大切な誰かのためにきっと精一杯働いてくれますね、心から応援しています。
次のじぶんProject プロジェクト プロジェクトリーダー 北村貴