わたしの
セカンドキャリア
第2回仕事の中に次のステップの萌芽を見出し、最後に行きついた「第二の人生」構想/柏原光太郎さん
日本ガストロノミー協会会長 柏原光太郎(かっしー)
セカンドキャリアを考え始めたきっかけと
私のライフラインチャート
新卒で出版社に入って、40代まで週刊誌や小説雑誌、文庫本制作などの編集の仕事をしていました。
当時、編集者の仕事は「広く、浅くがモットー」といわれました。いろんな分野を齧らせてもらえた自由を満喫しながらも、器用貧乏でいる自分になんとなく危機感を覚え始めたのは、40代に入って編集の仕事を離れ、プロモーション、デジタルなど新規事業を考える仕事をするようになった時期からでしょうか。
「編集」という曖昧模糊なスキルしかないままでいる自分に対して、PR、宣伝、デジタルといった確固たる分野を持ち、自信をもって語る人々(しかも若者!)と交流しながら、自分の強みは果たしてあるのだろうかと考え始めたのです。
小説の世界やスキャンダル発掘の喜びに没入しきれない違和感を感じながら仕事をしていた頃も、私は社外の人々との交流が圧倒的に多かったのですが、編集から離れることによってますます増えていきました。
そんなときに出会ったのがfacebookでした。私が始めたのは2010年ですから、いまから12年ほど前、40代後半のことです。
いまから考えるとすでにITは時代の先端だったはずですが、マスコミの人々はまだ、このさきデジタルは頭打ちになり、活字に戻ってくると信じていました。私も以前、ツイッターには挑戦したものの、その面白さが分からないまま自然消滅していました。
とはいえ、なにかやらないと時代から取り残されるのでないかという漠然とした不安からFacebookをはじめたのです。
これが続かなかったらもうSNSの世界には入れないなあと思ったことを覚えています。
3つのターニングポイント
しかし、私は「我々は幸いなことに罹災しなかったのだから、もっとお金を使って経済を回そうよ」と思っていたので、「外食産業を勝手に救済しょう」というFacebookページを、食評論家のマッキー牧元さんと一緒に立ち上げたのです。
今後のわたし
「文春マルシェ」の準備をはじめたのが57歳の時です。半年後にスタートし、2年半後の2023年3月に私は60歳になります。この事業を始めてから、覚悟が決まり、60歳からの第二の人生は食を中心としたビジネスを行うことにしました。
59歳になった時、これまで自分が出来てきたことの分析、いわゆる「棚卸し」をしてみました。すると中途半端のように思えていた編集者やライターのスキルが実は、食文化の表現や地方創生、飲食店の経営者との交流などにとても活かされてきたことがあらためてわかりました。また、若いころは無闇に人と会うことで人脈が出来たような気がしていましたが、さきほど書いたように、それは点の集合体に過ぎませんでした。年月を経て、点が線になり面になると、違う点を中心にして出来上がった面とつながることもでき、面はさらにひろがってきています。
いま、本業の「文春マルシェ」と同じくらい、個人的に力を入れているのが一般社団法人日本ガストロノミー協会の活動です。スペインのサンセバスチャンは世界一の美食都市として知られていますが、その街を底支えするコミュニティ「美食倶楽部」を日本でも根付かせたいと思って始めたのが、日本ガストロノミー協会です。代々木にキッチンを構え、そこに「食」が大好きな人々が集い、自分たちで作ったり、食べたり、話をする「食コミュニティ」の拠点を作りました。食文化を発展させるハブになりたいと思って始めたのですが、この会の活動もいまや、私のほかの活動と重なってきたから不思議なものです。
私のようにこれまで転職もしたことのないシニアが第二の人生を歩むときは不安しかないでしょう。私のいまの気持ちもそうです。ただ、じっくり自分の社会人人生を振り返ってみたことでわかったのは、無駄な仕事はないということ。そして、思いもかけないことが今後のキャリア形成にプラスにつながりそうだということです。そういう意味では、人生100年時代の中、まだ40年ある第二の人生は、まだまだやることがたくさんあります。
編集部より
柏原さんのお言葉の中に「器用貧乏」「曖昧模糊なスキル」という言葉が出てきていましたが
はた目から見ると決してそんなことはありませんよね?
しかしこの世代の方には、同じように考える方が多いように感じます。
実はみなさん「ポータブルスキル」を持っているにも関わらず「自分はつぶしがきかない」と不安に感じられている方が多いのはもったいない!
ライフラインチャートは、自分を見つめ直すためのツール。
是非一度自身のライフチャートを書いてみて、キャリアライフとスキルを見つめ直す機会としてみては
いかがでしょうか?
1人では難しい…という方は、よろしければご一緒にこちらで定期的に開催しています